Borie la Vitarèle ジャン・フランソワさんとの試飲

2013/05/08

JF-Lucas

4月中旬、来日されたボリー・ラ・ヴィタレルのジャン・フランソワ・イザルンさん。日本へはもう既に何度かいらっしゃっているようで、今回はご家族みなさんで日本各地を訪問される前にディスのオフィスにいらしてくださいました。
さっそく、ジャン・フランソワさんと一緒にテイスティング。まずはドメーヌについてのお話を・・・
「私はラングドック生まれのラングドック育ちで、私の祖父、妻の父も醸造家という、ワインにかかわりのある家で育ち、ラングドックでも優れたワインができると言うことを見せしめたいという思いで、1990年にドメーヌを初めました。
ドメーヌの哲学ですが、まず第一に優れたワインを造るということ。それはつまりテロワールのワインを造るということ。テロワールを思い起こさせるようなワインを造ることです。したがって私たちがとった手法はビオディナミ。これによって土壌が活性化し、出来上がったワインから答えを得ることができるんです。醸造の時にも、あまり手を出さずに自然に任せます。ワインのなかに感じられるミネラル分、そしてフレッシュ感、これはビオディナミの証です」。
「所有する60ヘクタールの広大な敷地に20ヘクタールのブドウ畑を所有しています。畑は自然豊かな森に囲まれていて、様々な植物や動物がいます。このおかげで私たちのバラエティーに富んだワインができ、かつそれらは大変バランスが良いのです。また、森があるおかげで、他の生産者が使用した農薬や化学物質が畑に流れ込んで来ることがありません。この森を開拓してワイン畑にすることは考えていません、ずっとこの環境を保ちつつワインを造っていくつもりです」。

今回ディスが販売を始めたのは、彼の4種類のワインです。ジャン・フランソワさんのコメントを聞きながらテイスティングしました。

- IGP Pays d’Hérault Coteaux de Murviel La Cuvée des Cigales 2012
石灰質土壌で育ったメルロとグルナッシュ50%ずつのブレンド。醸造後、コンクリートタンクで約1年熟成。
メルロが入っているので、AOCではなくヴァンドペイのカテゴリーになります。「ラベルのセミの絵は、「ラ・フォンテーヌ寓話集」に出てくるセミとアリの話にヒントを得ました。物語の中でセミは夏の間毎日パーティーをしたり歌を歌ったりして暮らしているので、そんなイメージ感じで仲間や家族と楽しく飲んでもらいたいと思いこの名前を付けました。このワインにはほとんどタンニンが感じられず、とても香りがよくフルーティーで柔らか、穏やかな酸とミネラルのフレッシュな印象で、ロゼを飲んでいるかのような爽やかさがあります」

- Saint-Chinian Les Terres Blanches 2011
樹齢10-30年のグルナッシュとシラーを半々ずつ、コンクリートタンクで約1年間熟成させたワイン。
「このワインは、まさにテール・ブランシュ(白い大地)、つまり白い石灰質土壌で育ったブドウを使用しています。私の造るワインは、それぞれそのワインが育まれるテロワールに基づき名前を付けています。このワインは、シガルに比べ少ししっかりしてタンニンもあります。この2011年ヴィンテージは今ちょうど飲みごろになったところ。とても柔らかくなっています。このワインも早くからフレッシュなフルーツのみずみずしさを楽しめるワインです」

- Saint-Chinian La Combe 2011
カベルネ・ソーヴィニョン70%とシラー30%のブレンド
「La Combeはフランス語で谷間という意味です。Terres Blanchesと同じ石灰質土壌ですが、Terres Blancehsが日当たりの良い丘にある一方このキュヴェは涼しい谷間に位置しています。キュヴェのベースになっているカベルネはアロマティックなフレッシュ感や快活さ、構造の豊かさをもたらし、そこにシラーの柔らかさと滑らかさを加えています」

- Saint-Chinian Les Crès 2011 
シラー60%とムールヴェードル40%
「このワインの生まれるテロワールはとても特別です。というのは、この種類の土壌でー(いち)ドメーヌとしてワインを造っているのは、サンシニアンで私だけだからです。土壌は丸い小石に覆われた砂地の土壌で、この小石はかつて100万年前に流れていた川の底にあったもの。まさにシャトーヌフと同じ土壌で、ブドウ栽培にはとても適した土壌です。砂地の部分は地中奥深く10-12メートルの深さがあり、ブドウは水を求めて深くまで根をおろすことができ乾燥から守られます。また小石の部分は日中の暑さを夜間まで保つことができるため、ブドウは早くから成熟することができ、凝縮感や力強さ、構造のしっかりしたタンニンが生まれます。また、かつて川が流れていた時その流れに乗って、ところどころに小石などの堆積物からなる小さな島ができました。そしてそれが今まで残っているのが、この私のブドウ畑です。他にもそういった場所はありますが、ドメーヌとしてワイン造りをしているのは私だけで、あとは全て協同組合の畑になってしまっています」

ブドウ品種の個性を含め、すべてのキュヴェがそれぞれ独自の個性をしっかりと持っていて、興味深い比較を見ることができました。
そして、彼のワインには得も言えぬ温かみとエネルギーが感じられ、口に含むたびに、広大な森の中で元気に育つブドウ、そして柔らかな土や熱を持った石、彼らがブドウ畑で働く姿・・など様々なイメージが浮かんできます。これこそが「テロワールのワイン」なんだな・・・。
彼のプロジェクトや多くの趣味、などなど、まだまだ書き足りないのですが、またの機会に詳しくお伝えしたいと思います。