ラングドック・ルシヨンの白ワイン その知られざる実力

2013/07/04

ラングドック・ルシヨンでは様々なタイプのワインが造られていますが、単純に考えて、赤・白・ロゼの生産割合はどれくらいだと思われますか?赤ワインはやはり生産量の7割を占めていますが、続いてロゼが20%弱、白ワインは13%ほどしかありません。しかしながら赤ワイン同様、醸造技術の発達も手伝ってここ数年でどんどんと品質が高まり、他の地域にも引けをとらないたくさんの優良な白ワインが見られるようになってきました。赤ワインにも言えることですが、ラングドックのワインの魅力は、様々な品種がブレンドされて、その個性を発揮するという点です。事実、ラングドック・ルシヨンで高く評価されているワインの多くは、ブレンドによるものが多く、その結果いくつかのワインはAOCを名乗ることが出来ないのも事実ですが、ワイン造りの「自由さ」が受け入れられやすいラングドックでは、今後新たにAOCとして認定される品種も出てくるでしょう。
一方、古くから造られてきた土着品種によるワインも重要な存在です。文化・歴史的にも価値の高いピクプールは土地特有の料理との楽しみ方が深く根付いています。
東西南北に広がる様々なアペラシオンはその地域特有の気候に恵まれており、生まれるワインはそのテロワールを表現した個性的なものになります。穏やかな酸に由来する程よい苦みは、野菜など素材の甘味、そして脂質のもつ甘味に大変合わせやすいのです(たとえばオリーヴオイルを使った前菜、野菜の天ぷら)。また、しっかりと熟した果実の味わい(甘さ)は、塩分のある料理(タプナード、ピペラード、魚や肉料理に塩を振ったシンプルなもの・・など)と大変よいマリアージュを見せます。

今回は、ブレンドによる白ワインをいくつかご紹介します。

1. Corbières Blanc 2011 / Ch. Champ des Soeurs
グルナッシュ・ブラン50% ルーサンヌ50%
フィトゥーの生産者、シャン・デ・スールの白ワイン。フィトゥーは赤のみが認められており、白ワインのアペラシオンはコルビエールになります。フィトゥーでも海側にあるシャン・デ・スール。南仏特有の低灌木に囲まれる畑のすぐそこには海が広がり、潮風が吹き付けます。養殖場に続く丘で育ったブドウをステンレスタンクのみで醸造・熟成します。グルナッシュ・ブランのボリューム感に加え、アロマの豊かさと上品さを備えたルーサンヌのブレンド。たっぷりとした口当たり、アプリコットや蜂蜜などフローラルでフルーティーな香りに満ちていて、長い余韻と程よい厚み、きれいな酸が特徴。目を閉じれば、潮の香りが漂ってきそうです。

2. Limoux La Trilogie 2010 / Ch. Rives-Blanques
シャルドネ50% シュナン・ブラン30% モーザック20%
リヴ・ブランクの最上のシャルドネ、シュナン・ブラン、モーザックのバレル・セレクション。年間の生産量も1,500本とごく僅か。程よい熟成を遂げ、今まさに飲みごろを迎えています。ジャスミン、マンゴーなどエキゾチックなニュアンス、リッチで深い味わい。程よい樽の風味、質感もなめらかで、適度なボリュームに加えきれいな酸がのっており、軽い食材に油を使ったお料理には大変合わせやすい白でしょう。2010年は5月に雪が降ったという記録的な年で、彼らの経験した中でも最も涼しいヴィンテージ。じっくりと完熟を待って収穫したブドウにはやはり伸びやかで美しい酸が感じられます。リヴ・ブランクのワインは、シャトー・グリュオ・ラローズのテクニカル・ディレクター、ジョルジュ・ポーリがコンサルティングを行っています。

3. Languedoc Pic Saint Loup Cuvée Sainte Agnès Blanc 2011 / Ermitage du Pic Saint Loup
ルーサンヌ50% クレレット20% グルナッシュ・ブラン20% マルサンヌ10%
フレッシュでややエキゾチックな香り。白桃や白い花の印象が強く残り、優しく豊かな口当たり、綺麗で明確な酸が味わい全体を中盤より爽やかに仕上げています。心地よい塩味と苦味とのバランスがよいワインです。まさにこの多様な品種のブレンドとラングドックでも北に位置するピック・サン・ルーのテロワールのなせる業です。重すぎず、軽すぎず、香り高く味わい深いと心地よい飲み口。ピック・サン・ルーの山の麓の高地で、千年以上も前からこの地に住んでいたラヴァイユ家の3兄弟がビオディナミで栽培に取り組んでいます。彼らのワインは、全体的にミネラル分に富みアロマ豊か、長い余韻を持つワインです。

4. Vin de Pays de l’Hérault L’Etincelle 2011 / Mas Cal Demoura
シュナン・ブラン50% グルナッシュ・ブラン ルーサンヌ ヴィオニエ
ラングドックで今一番熱いアペラシオンの一つ、テラス・デュ・ラルザック。ラングドックでも最北に位置し、昼夜の気温差が20度以上にもなり、熟したブドウの風味がしっかりと感じられながらも、美しい酸がのったワインになります。シュナン・ブランをメインに使うことで、やはりフレッシュ感とミネラル感が生まれます。造り手はヴァンサン・グマール。彼によればINAOがミネラル感とフレッシュ感を出すために奨励したこともあり、シュナン・ブランはラングドックでも比較的浸透してきている品種だそう。ビオロジックで栽培されたピュアな味わいのブドウは、ほのかな蜂蜜の風味を持ったシュナン特有のアロマ豊かで伸びやかな酸、やはり心地よい苦みと塩味がありエレガント。

 

 

 

ドメーヌ・ローヴ デメテール認証と補糖の是非

2013/07/04

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アルザス北部、ヴェストーフェンのドメーヌ・ローヴは、今畑仕事に追われています。
2週間にわたってかなり暑い日が続きブドウが爆発的に成長したものの、その後はやや涼しくなってまばらに開花が進んでいる状態だそう。
春は村中が素晴らしい花の香りに包まれ、年に一度訪れる得も言われぬ美しい季節だったと話してくれました。
ヴェストーフェンはアルザスのワイン産地の中でも北に位置していて、一見南に比べ寒そうに思えるのですが、ここは比較的標高が低いこともあり比較的温暖な土地。盆地状の土地に広がる畑は、北または南を向いていて、特に夏から秋にかけて暑いほどの日照に恵まれます。そして、忘れてはならないのがその多様な土壌。ムシェルカルク(石灰化した貝を含んだ石灰岩)をはじめとして、石膏を含んだ赤や黒、緑のマール(泥灰土)、ウーライト石灰岩などバラエティーに富んだ土壌が、複雑な風味と奥行きを持ったワインを生み出すのです。

ドメーヌ・ローヴの全てのキュヴェは、4月終わりにスタートした2012年の瓶詰めからデメテール認証とEUのビオ認証を取得しました。デメテールの認証が厳しいのはもちろんなのですが、2012年ヴィンテージから適用された新しいこのビオ認証も、栽培から醸造まで、とりわけ亜硫酸の添加量など醸造に関して厳しい規定があります。ひとつひとつのワインに対し、厳しい審査をクリアしなければ、認可を得ることが出来ません、畑仕事から醸造、申請まで気の抜けない作業が続く・・・本当に大変な仕事なんだよ!とエティエンヌ・ローヴ。

彼はビオディナミの権威、ピエール・マッソンのアドバイスを受け501-507番までの基本プレパラシオン(調合剤)を平均年2回、ディナミザーで撹拌し畑に散布しています。この機械を使用して、プレパラシオンと水を撹拌、宇宙のエネルギーを取り込みます。エティエンヌはこの水にもこだわりがあります。普段は家にたまる雨水を使用しますが、水の質に納得がいかない場合は、良い水を求め汲みに行きます!
また、プレパラシオンの散布に並行し、イラクサやトクサ(自家栽培)を煎じたものをボルドー液散布の時に使用しています。エティエンヌのお父さん、そして彼自身も始めはビオディナミに対し懐疑的なイメージをもっていたものの、驚くほど生き生きとしたブドウの成長ぶりには言葉も出なかったそう。

ワイン造りに関して彼が一番重要と話すのは、カーヴの清潔さ。ステンレスタンクを用い(ローヴではフードルで熟成させるワインが1種類だけあります)、そしてたくさん水を使い清潔に保つことが大切と言います。それから上に記した通り、酵母、酵素そして醸造時に余分なものを添加せず、果汁の力に任せゆっくりと醸造を進めます。そして彼が常に言うのは、pas de chaptalisation = 補糖を絶対にしないということ。ボルドー(ソーテルヌを含む)とリヨンを結んだ線以北で許可されている補糖はアルザスでも未だ慣例的に行われているそうで、「生産者によってはかなりの収量を確保しながら、しっかりと補糖する。でもそれでは品質の高いワインを造ることなどできるはずがない。収量を少なくするか、もしくはしっかりとブドウの熟度を上げることが大切なんだ。天候が不安定だった2012年が良い例で、この年は《補糖向きの年》と言えるかもしれない。我々がMenhirの区画のブドウを収穫しているとき(もうすっかりブドウが熟していて、過熟を避けるため公示日より早く収穫を始めた)、他の生産者たちはクレマン用のブドウを収穫していた(クレマン用のブドウはフレッシュさを生かすためあまり熟度が高くないものを使う)。的確な畑仕事をして手入れをしていれば、こんな年でもシャプタリザシオンをする必要はないんだ。それが良く分かったヴィンテージだね」。
エティエンヌのワインはとてもクリーンでエキス分豊かな味わい。こんな見事なワインが造られる裏側には大変な努力があることを忘れてはならない・・・そう思いながら彼が力を注ぐ樹齢80年以上のシルヴァネールをしみじみと味わいました。

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