ドメーヌ・ローヴ デメテール認証と補糖の是非

2013/07/04

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アルザス北部、ヴェストーフェンのドメーヌ・ローヴは、今畑仕事に追われています。
2週間にわたってかなり暑い日が続きブドウが爆発的に成長したものの、その後はやや涼しくなってまばらに開花が進んでいる状態だそう。
春は村中が素晴らしい花の香りに包まれ、年に一度訪れる得も言われぬ美しい季節だったと話してくれました。
ヴェストーフェンはアルザスのワイン産地の中でも北に位置していて、一見南に比べ寒そうに思えるのですが、ここは比較的標高が低いこともあり比較的温暖な土地。盆地状の土地に広がる畑は、北または南を向いていて、特に夏から秋にかけて暑いほどの日照に恵まれます。そして、忘れてはならないのがその多様な土壌。ムシェルカルク(石灰化した貝を含んだ石灰岩)をはじめとして、石膏を含んだ赤や黒、緑のマール(泥灰土)、ウーライト石灰岩などバラエティーに富んだ土壌が、複雑な風味と奥行きを持ったワインを生み出すのです。

ドメーヌ・ローヴの全てのキュヴェは、4月終わりにスタートした2012年の瓶詰めからデメテール認証とEUのビオ認証を取得しました。デメテールの認証が厳しいのはもちろんなのですが、2012年ヴィンテージから適用された新しいこのビオ認証も、栽培から醸造まで、とりわけ亜硫酸の添加量など醸造に関して厳しい規定があります。ひとつひとつのワインに対し、厳しい審査をクリアしなければ、認可を得ることが出来ません、畑仕事から醸造、申請まで気の抜けない作業が続く・・・本当に大変な仕事なんだよ!とエティエンヌ・ローヴ。

彼はビオディナミの権威、ピエール・マッソンのアドバイスを受け501-507番までの基本プレパラシオン(調合剤)を平均年2回、ディナミザーで撹拌し畑に散布しています。この機械を使用して、プレパラシオンと水を撹拌、宇宙のエネルギーを取り込みます。エティエンヌはこの水にもこだわりがあります。普段は家にたまる雨水を使用しますが、水の質に納得がいかない場合は、良い水を求め汲みに行きます!
また、プレパラシオンの散布に並行し、イラクサやトクサ(自家栽培)を煎じたものをボルドー液散布の時に使用しています。エティエンヌのお父さん、そして彼自身も始めはビオディナミに対し懐疑的なイメージをもっていたものの、驚くほど生き生きとしたブドウの成長ぶりには言葉も出なかったそう。

ワイン造りに関して彼が一番重要と話すのは、カーヴの清潔さ。ステンレスタンクを用い(ローヴではフードルで熟成させるワインが1種類だけあります)、そしてたくさん水を使い清潔に保つことが大切と言います。それから上に記した通り、酵母、酵素そして醸造時に余分なものを添加せず、果汁の力に任せゆっくりと醸造を進めます。そして彼が常に言うのは、pas de chaptalisation = 補糖を絶対にしないということ。ボルドー(ソーテルヌを含む)とリヨンを結んだ線以北で許可されている補糖はアルザスでも未だ慣例的に行われているそうで、「生産者によってはかなりの収量を確保しながら、しっかりと補糖する。でもそれでは品質の高いワインを造ることなどできるはずがない。収量を少なくするか、もしくはしっかりとブドウの熟度を上げることが大切なんだ。天候が不安定だった2012年が良い例で、この年は《補糖向きの年》と言えるかもしれない。我々がMenhirの区画のブドウを収穫しているとき(もうすっかりブドウが熟していて、過熟を避けるため公示日より早く収穫を始めた)、他の生産者たちはクレマン用のブドウを収穫していた(クレマン用のブドウはフレッシュさを生かすためあまり熟度が高くないものを使う)。的確な畑仕事をして手入れをしていれば、こんな年でもシャプタリザシオンをする必要はないんだ。それが良く分かったヴィンテージだね」。
エティエンヌのワインはとてもクリーンでエキス分豊かな味わい。こんな見事なワインが造られる裏側には大変な努力があることを忘れてはならない・・・そう思いながら彼が力を注ぐ樹齢80年以上のシルヴァネールをしみじみと味わいました。

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