Françoise AntechさんによるLimouxセミナー1

2014/06/03

11月初め、リムーのメゾン・アンテッシュ社長のフランソワーズ・アンテッシュさんをお迎えしました。その時のセミナーの内容を今回はお伝えします。
収穫が終わって間もなくのタイミングだったので、2013ヴィンテージについて尋ねてみました。他の地域が苦しんだこのヴィンテージにおいてラングドックは成功をおさめており、素晴らしいヴィンテージとして各メディアで取り上げられています。そしてリムーは特に良い、歴史的なヴィンテージになるという見解が広まっているようです!

メゾン・アンテッシュは女性が主役
リムジー家によって1900年代の初めに創業したこのメゾン。土台を築き上げたのは、ウジェニー・リムジーという女性。彼女は19世紀終わりに生まれ、フィアンセを第一次世界大戦で失い、悲しみに暮れながらもラングドックで女ひとりでブドウを育てることに尽力した人物です。当時はスティルワインを生産していましたが、1931年エドモンド・アンテッシュがウジェーヌの姪にあたるマルグリットとの結婚を機に経営に参加するようになってから、スパークリングワインの生産へとシフトしていきました。エドモンドの息子、ジョルジュとロジェが、新しいセラーの建設や畑の整備、マーケティングに取り組んだことでメゾンはさらなる発展を遂げます。そして今このメゾンの6代目を担うのが、ジョルジュの娘、フランソワーズ・アンテッシュさんです。彼女は父の勧めからパリの大手化粧品会社で10年間営業として、免税店などへの販売活動をし、世界中を飛び回りました。その後リムーへ戻り父や叔父から醸造技術を学び、1990年から社長を務めています。なぜ化粧品の会社を選んだのかと尋ねると、「香水など、ラグジュアリーなものは、シャンパンに代表されるスパークリングワインと共通点がある。ここで何か学ぶことが出来ると思った」とフランソワーズさん。
彼女はその経験を生かし、マーケットのあらゆるニーズに応えるため、商品数を増やし、かつパッケージの美しさを追求するほか、ブドウの質の向上を図ってきました。現在は永続的な発展と質の向上をめざし、栽培から醸造までできる限り人工的要素を排除した自然なやり方を追求しています。そのため20年前からは、60ヘクタールの自社畑を含めリュット・レゾネによるブドウの割合を増やしてきました。2013年からはテラ・ヴィティスによる認証を取得し、契約農家に対しても厳しい管理体制を敷いています。「ビオまたはビオディナミという選択もあったけれど、リムーでビオやビオディナミを実践するというのは、本当にややこしいんです!」(シャトー・リヴ・ブランクのカリル・パンマンも同じことを言っていました・・・)そして畑の管理は、彼女のお姉さんが取り仕切ってくれているそうです。家族経営ならではのチームワーク、心強いですね。

Antech 1405

スパークリング発祥の地Limoux
「リムーのサンティレール修道院には、昔僧侶が住んでおりフルーツやチーズ、ワインを造ったり、農耕を行っていました。ある僧侶が、酔っていたのか、どうしたのか分かりませんが、間違えてまだ発酵の終わっていないワインを瓶に詰めて(当時は水瓶が存在していた)栓をしてしまいました。
そしてその数週間後、そのワインを飲もうとしてその瓶を開けてみると泡立っているのを発見しました。1531年にすでに、この僧院でブランケット・ド・リムーの記録が残されています。
これはドン・ペリニョンがシャンパーニュを発見した150年も前のもの。リムーは最も古いスパークリングワインの生産地なんです!」フランソワーズはとても誇らしげにこの偉大な功績について語ります。

リムーのテロワール・その特異性
「リムーはまずどこにあるか、これはとても重要なポイントです。スペイン接近した場所にあるフランス最南端のスパークリングワインの産地です。畑の総面積は2000ヘクタール、41の村から成ります。
リムーに雨が降ると、その水は地中海と大西洋にほぼ同量流れていきます。地理的には300キロ離れた大西洋よりも地中海(80キロ)に近いのですが、気候は大西洋性、地中海性、ピレネー山脈からの影響も受けています。
地中海側の影響を受ける東部からはアロマ豊かでフルーティーなワインが、大西洋側の影響を受ける西部からはリッチでふくよかなワインが出来ます。そして、ピレネーに近づく南側の標高の高いオート・ヴァレ地域からはフレッシュなワインが生まれ、これら3つのテロワールから育まれたワインをブレンドすることでバランス豊かなワインが生み出されるのです」

「そしてリムーの全てのブドウ畑は南向きの水はけ良い斜面にあります。リムーは特に素晴らしい白ワインを生み出す場所で、シャルドネはとくに有名です。ラングドックの最良の白ワインを生み出す場所として認知されてきていますが、シャルドネに加え、シュナン・ブラン、モーザック、ピノ・ノワールも栽培されています

ここは人口10,000の小さな村ですが、5つのアペラシオンがあります。
– Blanquette de Limoux (Methode Traditionelle)
– Blanquette Méthode Ancestrale
– Crémant de Limoux
– Limoux Blanc
– Limoux Rouge

アンテッシュでは生産量の7割以上がBlanquette de Limouxで占められています。Methode Traditionelleというのはシャンパーニュ方式と同じ、タンクでワインを醸造したのちに酵母と糖分を加え瓶内で発酵させるやり方です。
ブランケットはモーザックが主体、クレマンはシャルドネ・シュナン・ピノノワールが入ります。ブランケット・ロゼは存在しません。モーザックは10%までクレマンに入れてよい。年間の生産量1000万本のうち950万本がスパークリングワインです、スティルに比べスパークリングの比率が大変高いんですよ。もちろんこの数字にはヴァン・ド・ペイの生産本数は入っていません」

フランソワーズさんから、今回初めてリムーという地域について、そして栽培から醸造まで強いこだわりをもってワイン造りに取り組むアンテッシュのやり方をじっくりと聞くことができ、アンテッシュに対する見方がどんどん変わってきます。
ブドウ品種や、アンテッシュの各キュヴェの紹介は、次回でご紹介します!