2016収穫情報 Maison Antech

2017/06/30

2016年は雨が多くて寒い春だったのに、6月末から7月の間はずっと雨が降らず8月の酷暑と乾燥で、いつもの私たちのパラメーターが狂ってしまいました。
糖度と酸、Ph度のバランスはどう取るべきだろうか?ストレートでピュアでキレが良く、かつ個性的なワインを造るため収穫をいつからスタートするべきなのか?ジレンマが付きまといました。
色々分析を繰り返し、考えぬいた結果、8月26日の夜明けとともにシャルドネから収穫をスタート。畑の向きによって暑さが変わるので、ブドウの品質を駄目にしないよう、どういった順番で収穫していくかというところが今年はとても重要でした。
チームプレーが求められる手摘み作業で丹念に収穫、様々な制約があったものの私たちの努力のおかげで酷暑の中にも関わらず素晴らしいフレッシュ感のあるブドウを摘みとることができました。
ベースワインを醸造し終えて酸の豊かさとフローラルで果実感豊かな繊細さが際立っています。この2016年に収穫されたブランケットとクレマン・ド・リムー約2年に及ぶ瓶内熟成後にリリースされます、お楽しみに!

Domaine Daniel Crochet訪問 2016.7月②テイスティング

2016/12/09

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2014ヴィンテージと最新の2015ヴィンテージを試飲しました。

Sancerre Tradition Blanc 2015
カイヨットとテール・ブランシュの14の区画からのソーヴィニョン・ブランのブレンド。樹齢は約35年までのものを使います。
暑かった2015年はブドウが収穫前に乾燥してきてしまったほど水不足に見舞われましたが、8月の終わりに少し雨が降り、最終的には酸もしっかりあってバランスは良いとダニエル。
そんなヴィンテージにおいても、しっかりとフェノール類の成熟を待って収穫することが大切なのだそうです。
口当たりの丸み、柔らかさは2014年よりも際立っていますが中盤からミネラルのフレッシュ感があり余韻には爽やかさが持続します。

Sancerre Cuvée Prestige Blanc 2015
サンセールのグラン・クリュとも称えられるカイヨットのシェーヌ・マルシャンのブドウを含む3つの区画からのブレンド、樹齢もやや高く40年近いものです。
2015年らしい親しみやすい柔らかさを残しつつ、Tradition Blancに比べよりミネラル感が強くタイトな印象で、骨格もしっかりしています。

Sancerre Blanc Plante des Prés 2014
グリオットと呼ばれるもろい石灰質の南向きの斜面、ミネラル感がはっきりと出る土壌です。平均樹齢50年。
とても繊細な果実味、伸びやかな酸が特徴です。「2014年は水不足によるストレスがあまりなかったため、ブドウがじっくりと成熟することができた、そのため2014年は大変良いヴィンテージで長期熟成が期待できるものとなった。緊張感があり、ピュアなフルーツ感がしっかりと感じられる。ソーヴィニョン・ブランなどアロマティック品種とよばれるものは、このゆっくりとじっくりと成熟することがとても大切なんだよ」とダニエル。

Sancerre Rouge 2014
テール・ブランシュとキンメリジャンの7つの区画からのピノ・ノワール。樹齢約35年までのものを使用します。60%樽で1年間熟成。フローラルで赤い小さなフルーツの凝縮度豊かな香り。タンニン量が比較的多くややタイトな味わいですが、これから次第に調和が取れてくるでしょう。みずみずしく伸びやかなきれいな酸。

Sancerre Rouge Cuvée Prestige 2014
3つの区画に植えられているピノ・ノワールは樹齢50年以上のもの、これらはセレクション・マッサルによって増やした優良な苗木でダニエルは「タンニンの質がとても良い」と話します。
チャーミングなTradition Rougeに比べて、タンニンのきめ細やかさ、滑らかさが際立ち全体的に上品。ブルゴーニュの上質なピノ・ノワールに匹敵する、もしくはその上をゆくような見事な出来栄え。

★このピノ・ノワール・キュヴェ・プレスティージュ2014はフランスのワイン専門誌「ラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス」の2016年11月号「ピノ・ノワール特集」で表紙を飾り、もっともコストパフォーマンスの高いピノ・ノワールに選出されました。専門家たちがブラインドテイスティングで試飲を行い販売価格を想定するという試みでしたが、多くのブルゴーニュの主要アペラシオンからのピノ・ノワールが「やや高く値付けされている」と言われる一方で、このサンセールのピノ・ノワールは品質の割にとても価格が手ごろだということで「新たな発見」「衝撃の一本」と異例なまでに絶賛されました。(残念ながらドメーヌの在庫がなく、手に入れることができませんでしたが次ヴィンテージ2015にご期待ください!)

320日の日照 2013ヴィンテージのラングドック

2016/09/02

320 jours de soleil dans Languedoc en 2013!

多くの生産地で一年を通して涼しく、雨がちの天候に悩まされたフランスにおいて、程度の差こそあれ質量ともに安定した場所がラングドック・ルシヨンです。ローヌ地方同様、寒く雨の多い天気が続き、2~3週間遅く6月半ばにようやく開花を迎えました。ゆっくりとブドウが熟し、9月から10月にかけて収穫時の暑さのおかげでしっかりと熟したブドウを収穫することができました。
一方、昔から栽培をしている古い生産者にとっては、温暖化によってブドウの成長サイクルが早く進んできた30年間から、昔に戻っただけだと話す人もいます。また、前半の降雨量のおかげで畑はしっかりと水を貯えることができ、近年生産者を悩ませ続けてきた深刻な水不足の影響も少なかったため、バランスの良いワインが多いというのも事実です。

2013年ラングドックのキーワード:
★日照:320日
★風:220日(主に北風)
★雨:春に雨が多く、6月から10月にかけては少雨だった
→ラングドック・ルシヨンはフランスで唯一、前年に比べ収穫量が上がった産地

320 jours de soleil 2013

良いヴィンテージと言っても、ブドウの熟度の見極めが重要なヴィンテージだったため、生産者によって意見はまちまち。生産者の力量が本当に試された年。良いワインには「風味の豊かさ、そしてピュアな果実感とみずみずしい酸」が表現されています。

今回、ラングドックの西と東、コルビエールとピック・サン・ルーの2人の生産者の2013ヴィンテージの見解を尋ねてみました。どちらもナチュラルな栽培を行いビオワインを生産する真面目な生産者。他の生産者に比べ、ワインにはヴィンテージの特徴がより感じ取れます。

● ソフィー・ギロドン “厳格な選別が成功の秘訣” (クロ・ド・ラネル / コルビエール)
“ブドウの成熟にとても時間がかかった2013年、ブドウの成熟度合いをしっかりと見極める力はもちろん必要だったけれど、畑は湿気が多く気温も上がり、ブドウにボトリティス菌が付く前に急いで収穫をしなければならなかった。たくさんブドウを選別した結果、30%の収量減となりました” 樽を一切使用せず造るソフィーのワインは驚くまでに純粋な果実味がありますが、丹念な畑仕事と特に2013年は厳格な選別が成功の要因となったようです。

● ピエール・ラヴァイユ “凝縮感ときれいな酸” (エルミタージュ・デュ・ピック・サン・ルー / ピック・サン・ルー)
“日照に恵まれた年、ピック・サン・ルーらしい昼夜の寒暖差が大きく、ワインには凝縮した美しい果実味とともにきれいな酸が備わっていて、時間と共に表現が増してゆく”                
赤ワイン同様、白ワインにも感じ取れる爽やかで表現力豊かな果実味。2013年は北ローヌ生まれの品種、シラーやヴィオニエ、ルーサンヌ、そしてマルサンヌも水不足による影響が少なく、みずみずしく豊かな味わいになりました。

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2014年春、トラクターでの作業中に亡くなったサン・シニアンのドメーヌ、ボリー・ラ・ヴィタレルのジャン・フランソワが瓶詰まで手掛けたラスト・ヴィンテージも2013でした。
普段より約2週間遅れ9月16日に始まった収穫。1980年代を想起させるような気候で、フレッシュで複雑味が既に感じられ長期熟成型のワインだよとジャン・フランソワが語っていた通り、彼のワインには果実の凝縮した甘さがありながらも、みずみずしい酸が存在しています。一方、開花時の寒さが影響しグルナッシュは花ぶるいが起き、特にシスト土壌ではグルナッシュの収穫量が半分以下になってしまいました。しかしながら彼は、石灰質のテール・ブランシュや粘土珪土質の層にゴロゴロとした石の広がるレ・クレ、そして新しい白ワイン、ル・グラン・マイヨールのテロワールから生まれた2013ヴィンテージらしい”並外れたフレッシュ感と滑らかな果実感”にとても喜んでいました。

ラングドック・ルシヨンで2016年初の収穫スタート

2016/08/31

今年もラングドック・ルシヨンで初となるミュスカの収穫がスタートしました。一番手は昨年同様、フィトゥーのローラン・メナディエ(シャン・デ・スール)です。何よりもフレッシュ感を白ワインに求めるローランは糖度・酸度・アロマのバランスを見極め、潜在アルコール11~11.5%で収穫。暑かった2015年に比べ5日遅く8月12日にスタートしましたが、近隣の生産者は8月中旬からのスタートのようです。水不足による影響で40-45hl/haほどの収量を予想していたもの、実際は35hl/ha程になりました。「それでも潟と海に近いこの区画は(海からの湿気があり)そこまでひどい水不足には陥っていない」とローラン。状況が厳しいのはグルナッシュで、冬から春の雨が少なかったこと、さらには開花がうまくいかず、北風と突然の暑さが花ぶるいと結実不良を招いてしまったことで、収穫量は40%減少の見込みです。
シャン・デ・スールは現在ビオロジックに転換中です。

CdS muscat 2016

こちらも地中海からほど近いカネ・アン・ルシヨンのドメーヌ、マス・ボーは8月中旬にミュスカの収穫をスタート。「暑く、トラモンタンヌ(この地域特有の北西から吹き付ける風)のなか、水不足に悩まされながらの収穫ですが、シャトーヌフのようなごろごろとした石(↓写真)が湿気を保ってくれており、他の生産者に比べまだ恵まれている」とのこと。一方、グルナッシュの収穫も控えていますがこちらも昨年よりも遅く、水不足と春の花ぶるいにより収穫量はどちらのドメーヌも残念ながら40%ほど減少する見込みです。

Mas Baux muscat 2016