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2016収穫情報 Mas Cal Demoura

2016収穫情報 Mas Cal Demoura

Mas Cal Demoura マス カル デムラ (Terrasses du Larzac) イザベルとヴァンサン・グマールがマス・カル・デムラのワインを手掛けてから13回目となる2016年は挑戦の連続でした。①3か月間雨が降らなかった:暖かく湿った冬と雨がちの春の影響で開花が早進みました。しかし夏は大変なもので7月半ばから9月中旬まで殆ど雨が降らず大変乾燥したのですが、幸運なのは夜間の涼しさがバランスのワインに欠かせない酸を賦与してくれたことです。②3か月におよんだ収穫:8月22日、白ワイン用の品種からスタート。水不足の影響でブドウの成熟が早まり通常6週間かかるところを3週間で90%のブドウを収穫、殆ど休みなく収穫を続けました。③タンク3つ分減:乾燥でブドウは大変健全、選果に時間を取られることなく収穫できたものの、水不足と春の寒さで花ぶるいが起き収穫量はマイナス22%減、畑によっては歴史的に少ない1ヘクタール当たり10ヘクトリットルという区画もありました。(グルナッシュは特に減少した一方で、サンソーは通常の収穫量が確保できました) 畑では新しい記録が出来ました。春は草が見る見るうちに生えてしまい、その殆どを鋤で刈り取ったり、乾燥によって不均一についたブドウの実を調整するなど2015年に比べ50%以上も畑仕事に時間を取られたほか、新たに白用の品種も植樹しました。 終わってみればこの2016年は2010年のようなポテンシャルを備えていると感じています。乾燥によって開花から収穫までの期間が短くなったうえ、ブドウ自体も凝縮度が生まれビオロジックでの栽培のおかげで2010年よりも上品で焦点の定まった味わいで、これは私たちの今までの経験の積み重ねに起因するとも言えます。

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2016収穫情報 Maison Antech

2016収穫情報 Maison Antech

2016年は雨が多くて寒い春だったのに、6月末から7月の間はずっと雨が降らず8月の酷暑と乾燥で、いつもの私たちのパラメーターが狂ってしまいました。糖度と酸、Ph度のバランスはどう取るべきだろうか?ストレートでピュアでキレが良く、かつ個性的なワインを造るため収穫をいつからスタートするべきなのか?ジレンマが付きまといました。色々分析を繰り返し、考えぬいた結果、8月26日の夜明けとともにシャルドネから収穫をスタート。畑の向きによって暑さが変わるので、ブドウの品質を駄目にしないよう、どういった順番で収穫していくかというところが今年はとても重要でした。チームプレーが求められる手摘み作業で丹念に収穫、様々な制約があったものの私たちの努力のおかげで酷暑の中にも関わらず素晴らしいフレッシュ感のあるブドウを摘みとることができました。ベースワインを醸造し終えて酸の豊かさとフローラルで果実感豊かな繊細さが際立っています。この2016年に収穫されたブランケットとクレマン・ド・リムー約2年に及ぶ瓶内熟成後にリリースされます、お楽しみに!

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フランソワーズ・アンテッシュ来日 2016.11月

フランソワーズ・アンテッシュ来日 2016.11月

リムーの女性ワインメーカー、フランソワーズ・アンテッシュが来日しました。今回は彼女がリムーで初めて造ったというドザージュなしのキュヴェ、「ブリュット・ナチュール」を携えて自信満々の様子。ピュアでストレートな味わいで素材を生かした料理に合わせやすく多くのソムリエに人気の商品のようで、フランス国内でも大変成功しているとのことです。(来年、みなさまにもご提供できるかもしれません!) 2015年新たに購入した標高450mの12ヘクタールのオセアニック(*)にある土地は、スパークリングワインに欠かせない酸ののったブドウを収穫できる、彼女が目指す理想の味わいには欠かすことのできない場所です。 自社畑の多い早熟なメディタレネアン(*)からは豊かな酒質のワイン、20ほどの契約栽培農家を持つ標高の高いオート・ヴァレー(*)のブドウからは爽やかな味わいのブドウが収穫されます。シャンパーニュと同じく、これらの異なるテロワールの巧妙なブレンドによりブランケットやクレマン・ド・リムーが生まれるのです。自社畑からのブドウと買いブドウの比率はほぼ半々、自社畑ならびに契約農家の畑に対しても厳しい減農薬栽培で管理しておりブドウの品質は年を追うごとに上がっています。(アンテッシュは減農薬栽培を行うワイナリーに与えられる「テラ・ヴィティス」に認証されています)                            フランソワーズは年を追うごとに他の生産者よりも収穫を早め酸を残すこと、そしてドザージュの量を少なくしてブドウ本来の味わいを追求し、年々その評価を高めています。現在世界中の星付きレストラン、アラン・デュカスやコンラッドなどで彼女のキュヴェが使用されています。そしてアンテッシュのワイン造りのもう一つの特徴は、長めの熟成期間です。ブランケットの法定熟成期間は最低9か月間、そしてクレマンは12ヶ月間ですが、アンテッシュは最低2年間、プレスティージュ・キュヴェに至っては6年間という長い熟成期間を設けており、これが味わいの複雑性、そして滑らかな口当たりを生み出していることは間違いありません。*リムーは大きく分けて4つのテロワール、メディタレネアン、オート・ヴァレ、オータン、オセアニックに分けられています。

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Domaine Daniel Crochet訪問 2016.7月

Domaine Daniel Crochet訪問 2016.7月

寒く不安定な天候も、7月後半に入って日差しが痛いほどの暑さに見舞われるようになってきました。ドメーヌ・ダニエル・クロシェはサンセールのビュエ(Bué)にあるドメーヌです。クロシェが付く名前はビュエの村にもいくつかあり、世界的に有名なフランソワ・クロシェはダニエルのお父さんのいとこにあたります。彼が1996年にドメーヌを継ぎ、最近から頭角を現してきたこのドメーヌはフランスの専門誌ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス2014年度版でロワールの表紙を飾りました。世界最優秀ソムリエ、オリヴィエ・プシエは彼のワインに大きな注目を寄せており彼のワインを好んで良く飲み、アドバイスをくれることもしばしばあるのだそうです。親類から借りている畑も含め所有する30の区画は合計10ha、ビュエだけではなくサンセール、シャヴィニョルに広がっており、テール・ブランシュと呼ばれる粘土石灰質土壌、そしてカイヨットと呼ばれる石がゴロゴロと転がる区画から構成されています。 今年、他のワイン産地と同じく春の霜、ベト病の被害がありますが甚大な被害には至っておらず「他の地域よりは恵まれている方だわ」と妻のヴェロニク。花ぶるいや結実不良などでやはり収穫量は多くはなさそうです。雨が多かったせいで草がたくさん生えてきて、除草作業に時間を取られてしまっています。ダニエルは除草剤を使わず、樹勢を抑える目的で草を生やす草生栽培を行っていますが、土が深い場所では草と根の”競争状態”を作り出しより深くまでブドウの根を張らせるため草を残します。一方、カイヨットなど表土が薄い場所では草を抜き取ってしまいます。 ドメーヌの誇りともいえる、サンセールでも特に有名な2つの区画に案内してもらいました。 プラント・デ・プレ (Planté des Près)・・・”グリオット”と呼ばれる粘土石灰質の畑。南向きの斜面になっており表土がとても薄い場所で、ここには1958年に植えられた古木があります。石灰の割合がとても多いため、ワインはとてもミネラリーで繊細、テロワールがしっかりと反映されます。1958年に植えられたヴィエイユ・ヴィーニュを含む0.27ヘクタール。ややきつい傾斜ですが、難なくトラクターを通せるよとダニエル。粘土石灰質(テール・ブランシュ)からは骨格のしっかりした長期熟成型のワインが出来上がると一般的に言われます。 シェーヌ・マルシャン (Chêne Marchand)・・・サンセールを代表する畑で、ダニエルによれば25人の生産者が畑を所有しているのだそうです。写真のとおり、石がびっしりと敷き詰められた土壌。ここに3つの区画を所有していますが、キュヴェ・シェーヌ・マルシャンには樹齢が50年にもなる一番高樹齢のものを使用、また若いソーヴィニョンはキュヴェ・トラディションに、樹齢40年ほどのブドウはキュヴェ・プレスティージュに使われます。この石が転がるカイヨットの土壌からはアロマ豊かでフルーティー、比較的早くから開きやすいワインになると言われます。 *その他の畑醸造所のすぐ隣の畑。キュヴェ・トラディションに使われるソーヴィニョン・ブランの畑(Venoizeと呼ばれる区画)。テールブランシュの畑ですが粘土が多く土が深いため、草がのこされています。春の寒さで結実不良を起こしているブドウが多く見られます。 ビュエでもサンセールにより近い場所(Les Dis Saulesと呼ばれる区画)。ピノ・ノワールとソーヴィニョン・ブランがあります。こちらもテール・ブランシュで粘土分は高めです。均等にブドウが付いていて大変きれいです。 ダニエルは、日が昇る方向のみ除葉し、西日が当たる方は葉を残すことでブドウが焼けてしまうのを防ぎます。また写真のように枝を長く剪定し、ブドウの実を落として間隔を広くとります。この方法は通常よりも時間のかかる作業ですが、防カビ剤や農薬を使わない栽培方法を取る限りは、空気が通り抜ける環境を造り出すことが大事なのです。 次のレポート、テイスティングへ続きます。

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