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Domaine de la Rectorie

ドメーヌ・ド・ラ・レクトリー

マルクとティエリー・パルセの兄弟が率いるドメーヌ・ラ・レクトリー。1984年に協同組合から脱却し最初の瓶詰めを行いました。この地域では比較的若い生産者であるにも関わらず、今やバニュルスとコリウールを語るうえで欠かせない存在です。彼らの財産であるブドウの木々は、若くして未亡人となった彼らの曾祖母のテレーズ・パルセが女ひとりで丹念に育ててきたもの。彼女は亡くなる1969年までドメーヌを守り続け99歳まで生きたドメーヌの神様のような存在で、パリで育った兄弟にとってはバニュルスは田舎、しかしとても大切な「根っこ」のような存在であり続け、バカンスに訪れる彼らに大きな影響を与えていたのです。1976年、マルクがバニュルスへ戻ったのを機に、ティエリーもその後を追います。


30ヘクタールの畑は海に面した山の標高0~400メートルのおよそ30区画に広がっており、ほとんどがシスト土壌。各パーセルがそれぞれ異なったミクロ・テロワールに存在し出来上がるワインは実に表現豊かなものになります。高樹齢の木々は混植、グルナッシュ・ノワールが70% 、グルナッシュ・グリが20%、カリニャンが10%、そして少量のグルナッシュ・ブランがあり、古いものは状態を見ながら徐々に植え替えながらバランスを保ち、平均樹齢は50年。また、8ヘクタールの畑に1980年代に植えたグルナッシュ・ノワール、シラー、ムールヴェードルはコリウール用に栽培されています。


生産量の大半は、コリウールの赤2種類のワインが占め、そのうちバニュルスの割合はたったの15%ほど。1981年からはラバや馬での耕作を導入。人工的な要素をできるだけ少なく、かつ人にも環境にも優しい栽培、醸造方法を実践しています。コマーシャルを担当する写真家の次男のピエールを含め、パリで培われた芸術的なセンスを持つ彼ら。彼らの住居兼コマーシャル用の建物は祖父レオンがこよなく愛したロマネスク様式の教会だったもので、レクトリー(カタロニア語で司祭館の意)の名の由来となっています。戦時中には防空壕として使用されていた山を削り取った石のカーヴには、多くの古いワインが眠るとともに、いくつもの樽が置かれており、この理想的な環境でワインはじっくりと熟成を重ねます。


代々に渡って丹念に育てられてきた高樹齢の木から生み出される低収量のワインは、テロワールの個性がはっきりと表れた個性的なもの。海と山に広がる約30の区画から、むきだしになったシストの痩せた土壌が育むミネラルはワインにピーンとした緊張感と同時に得も言われぬ心地よさを与えてくれます。それはコリウールの赤そして白ワインにとどまらず、酒精強化ワインのバニュルスに至るまで、ブドウの熟度と酸・ミネラルのバランスが完全なまでに保たれ一貫したスタイルが存在し愛好家たちを魅了してやまないのです。